本の水濡れに冷凍が良いって本当?濡れた本の正しい乾かし方
本が一度水濡れしてしまうと、用紙が波打って悲惨な状態になりますが、実は自宅で簡単に直すことができるんです。
今回はネットで話題の冷凍やアイロンも含め、実際に行われている濡れた本の効果的な乾かし方を紹介していきます。
一部だけの水濡れに!狭い範囲に使える乾かし方2選
1.アイロンでシワ伸ばし

洗濯後の洋服のシワを伸ばすアイロンは、濡れた本のシワを直すにも役立ちます。
水濡れした本は、タオルでしっかりと水分を拭き取り、湿った状態にしておきましょう。
その後、シワのある部分に当て布をしたら、低温に設定したアイロンをゆっくりかけてください。
この際、スチーム機能は使用せず、ドライの状態で行うのが綺麗に整えるポイントです。
ただし、アイロンの熱はいくら低温でも紙やインクにとっては高いので、長時間あてたり、広い範囲を行うと、インクがにじんでしまう可能性があるので、一部分だけを乾かしたい時にサッと行う程度にしましょう。
また、早く乾かそうと温度を高くしたり、一か所にアイロンを置いたままにすると、紙が焦げてしまう恐れもあるので注意が必要です。
2.ドライヤーで速乾

「時間がないけれど、濡れた本をすぐにどうにかしたい」という場合は、ドライヤーを使った乾かし方を行ってみましょう。
本の濡れた部分に温風を当てるだけの簡単作業なので、誰でも簡単に行えます。
ドライヤーをただ当てるだけでは、水濡れ部分がシワになってしまうので、必ず本を閉じた状態で上から重石を乗せ、紙を真っすぐにした状態で始めましょう。
ただし、ドライヤーを使った方法は本を閉じないと行えないので、中心部が濡れてしまった場合は行えません。
広範囲が濡れた本もOK!最強の乾かし方4選
1.国立国会図書館もやっている対処法

貴重な資料や歴史的な書物なども管理している国立国会図書館では、万一の事態に備えて、水に濡れた本を乾燥させる方法を紹介しています。
まずは、濡れてしまった場所は、タオルで押さえるように水分を吸収し、10~20ページごとに吸水性のある紙を挟みます。
その後、自立する本は濡れた部分を上にして、小口(ページが開く方)に扇風機や送風機で風を当て、水分を乾かしましょう。
乾かしている間、吸水用に挟んだ紙はできるだけこまめに交換して、水濡れ部分が触っても冷たくない程度の半乾き状態になるまで風を当ててください。
濡れた部分が半乾きになったら、挟んでいた吸水用の用紙は外し、平らな板で上下を挟んだら、上から重石を乗せましょう。
板と本の間には1枚紙を挟んでおくと、表紙の貼り付きを抑えることが可能です。
重石を乗せた状態で、1日1回はページ同士の貼り付きがないかを確認し、完全に乾いたら完了です。
2.ニューヨークの大学図書館がやっている対処法

アメリカ・ニューヨーク州のシラキュース大学の図書館でも、濡れた本の改善方法を紹介しています。
方法は国立国会図書館と少し似ていますが、異なる手順もあるので、両方とも確認して行いやすい方法を実践してみましょう。
まずは、水濡れした本の表紙と裏表紙を紙ナプキンで挟み、上から押して水分を吸収させます。
その後、ページ全体を覆う長さの紙ナプキンを、10~20ページごとに挿入してください。
根元まで濡れた本は、この時に本を開きすぎないよう、開きの角度は90度以内にしましょう。
表紙から半分程度まで紙ナプキンを入れたら、上から本を押して水分を吸収させて抜き取り、裏表紙側の半分も同様に行いましょう。
全て終えたら本を立てて開き、小口側から扇風機の風を完全に乾くまで当ててください。
濡れた部分が乾いた事を確認し、板で本の上下を挟んだら、重石を置いて1~2日ほど放置します。
3.有名買取店が紹介する冷凍する方法

買取店として最も知名度の高いブッ○オフが、オンラインコラムで紹介している本の乾かし方です。
本を濡れた状態でフリーザーバッグに入れ、冷凍庫の中に垂直に立てて入れておくだけという簡単な手順です。
この際、フリーザーバッグは口を開けたまま、1日以上(水濡れが酷い場合は2日ほど)放置します。
冷凍庫から取り出したら、表と裏を板で挟み、重石を置いてシワを伸ばしてください。
コラム上では非常に綺麗にシワが取れており、波打つ様子が一切ありませんが、実際に行った方からは上手くいかなかったという声もあるようなので、「乾かしたいけれど今すぐはできない」といった緊急事態の場合に行うのが良さそうです。
4.冬に最適なこたつを使った乾かし方

こたつのような温かく、温度が高すぎない場所は、水分がゆっくりと蒸発するため濡れた本も綺麗な状態に戻しやすいと言われています。
水濡れした部分をタオルでよく抜いたら、ページの合間にペーパータオルやキッチンペーパーなど吸水性のある紙を挟みましょう。
上下を平らな板で挟んだら、重石を乗せて、完全に乾くまでこたつの中に放置します。
冬限定の方法にはなりますが、たったこれだけの手順なので、濡れた本の乾かし方としては最もお手軽にできそうです。
濡れたまま乾いた状態でも本は売れる?
ほぼ買取不可か大幅減額になるので注意!

本買取では、新品に近い状態の方が高く売れるため、水濡れによってシワや波が生じている本は大幅に減額されてしまう事がほとんどです。
一部だけシワになっているとしても、本としての価値はかなり下がってしまいます。
また、程度によっては買取不可となってしまう事もあるので、濡れた本はできる限り綺麗にしてから査定に出しましょう。
ただし、プレミアのつくような価値のある本や古書の場合、濡れた本であっても高く売れるケースがあります。
定価以上の価値になるようなかなり貴重な本でしか、対象になる事はありませんので、一般書籍では期待しないようにしましょう。
買取前に水濡れ対処するなら自己責任の範囲で

紙が濡れると水を吸って膨張し、さらに乾いて収縮することで、波を打ったような状態になってしまいます。
実は、この状態になってからの修復はかなり難しく、本の修理業者でも完璧に戻すことができないそうです。
水濡れ状態をできるだけ綺麗に整えるためには、濡れた瞬間にすぐ対処することが大切です。
また、できるだけ綺麗にしようと何度も違う方法を試してしまうと、逆に本を傷めてしまったり、ページの破れやインクのにじみなどが起こる可能性もあります。
買取査定の前に濡らしてしまった場合は、上記の方法を行ったとしてもどれだけ綺麗になるかは分かりませんので、自己責任の範囲で行う様にしましょう。