コイル切手とは?今は販売されていない?
収集家から重宝されている「コイル切手」とはどんな物を指すのでしょうか。
コイル切手の特徴や、製造された経緯などについて紹介します。
コイル切手の歴史と価値
コイル切手と普通の切手の違いは?
コイル切手は、窓口では無く、自動販売機で購入できる切手で、左右に目打ちが無いことが特徴です。
通常は、切手は郵便局の窓口などで、必要な枚数分を購入します。
普通切手は、縦10枚、横10枚の計100枚が1シートに繋がっており、そこから必要分を切り取るため、どこからでも切れるように、切手の上下左右に目打ちがあります。
しかし、コイル切手の場合は、自動販売機にセットしやすいように切手がロール状になっています。
購入した時には、切手が縦に一列に繋がって出てくるため、目打ちは上下にしか必要無く、左右がギザギザではなく平坦になっています。
目打ちとは?
繋がった切手を切り離す時に、ハサミなどを使わずに切り取れるように、切手同士の境目に空けてある連続した穴のことを言います。
目打ちにそって切手を切り離すことによって、切手の周囲はギザギザした形になります。
通常の切手は上下左右がギザギザになっているのに対し、コイル切手には上下だけがギザギザになっています。
コイル切手の始まりはアメリカ?
20世紀初頭のアメリカでは、自動で手紙の封入と糊付けをし、切手を貼る「自動貼付機」という機械を、様々な民間会社が開発していました。
自動貼付機に通常の郵便切手はセットできず、特殊な目打ちをされている切手が必要になり、そこでコイル切手が誕生しました。
1906年にコイル切手は生まれたものの、民間会社が自社製品のダイレクトメールなどの為に使うことがほとんどで、一般には普及していませんでした。
2年後の1908年からは、正式に郵政でもコイル切手が発行されるようになりました。
日本のコイル切手の歴史
日本は、1933年に、東京中央郵便局を始めとし、一部の郵便局でコイル切手の発行が行われました。
発行当初はあまり普及しなかったものの、1980年代に入り、設置する切手の自動販売機の数を増大し、切手以外にも、ハガキや切手帳を購入することができるようになりました。
1997年になると、販売時に額面を印字する「印字コイル切手」も販売され始め、50円、80円、90円、130円の切手には雀、稲、椿が描かれ、速達料金の270円には雀と紅葉が描かれた計2種類の切手でした。
印字コイル切手は、職員のミスによって本来は販売していない額面10円を切手に印字してしまったり、低額面の切手台紙に270円が印字されるなどのトラブルも起こりました。
機械の不調で、額面の前に印字される*が欠けている切手が販売されたこともあり、収集家からは「半欠け」と呼ばれています。
このようなトラブルによって本来の販売品と異なる形になった「エラー切手」は収集家からは人気を集めています。
今はもう手に入らない?
130円のコイル切手は、定形外郵便50gまでの料金が、120円に引き下げられたことなどにより、販売が中止されました。
また、コンビニや、郵便局の時間外窓口で切手が購入できるようになった為、切手の自動販売機は2007年で全面廃止されました。
自販機の廃止以降、新たなコイル切手は発行されておらず、販売中止の公表もなかった為、今では収集家にとって、コイル切手はとても価値のある物として扱われています。