廃車の手続きは自分でできる?手順や注意点、必要書類を解説!
廃車手続きには「一時抹消登録」と「永久抹消登録」の2種類があり、目的によって準備や手続き方法が異なります。
自分で廃車手続きを行うか検討している方のために、各違いや手順、税金の還付などについてまとめました。
今だけ車を使わないなら「一時抹消登録」
一時抹消登録は、あとで取り消すことが可能
一時抹消登録は「一時」という事が使われている通り、登録している期間だけ車を使えないようにする(公道の走行ができないようにする)手続きです。
普通車の場合は一時抹消登録と呼ばれますが、軽自動車の場合は「一時使用中止手続き」と言います。
たとえば、車のオーナーが怪我や病気をして長期間乗車しない場合や、海外出張などで車を使えない期間が長い場合など、今後使用する可能性がある時に行うものです。
乗車できる状態で維持すると、車の税金や保険料などがかかってしまいますが、一時抹消登録をすると請求が止まるので、出費を抑えることが可能です。
あくまでも一時的な廃車手続きなので、後から登録を解除し、また車を乗れるようにする事もできます。
一時抹消登録に有効期限はなく、登録を解除するか、あるいは永久抹消登録の廃車手続きを行うまで、何年、何十年でも登録されたままになりますので、使用を再開する時は必ず登録解除の申請を行い、ナンバープレートを発行してましょう。
一時抹消登録に必要な書類・物
一時抹消登録を行う時は、下記の書類や物を、申請当日までに揃えておく必要があります。
申請書などの他の書類は、当日窓口でもらうことができますので、わざわざ印刷する必要はありません。
手続きが初めて心配な方も、記入例がありますし、窓口の担当者やスタッフが書き方を教えてくれますので、事前の準備は特に必要ないでしょう。
普通自動車の場合
- 車検証(ない場合は理由書)
- ナンバープレート2枚(ない場合は理由書)
- 所有者の印鑑証明書(発行後3カ月以内)
- 所有者の実印(本人が申請する場合)または委任状(所有者本人以外が申請する場合)
※理由書および委任状は、国土交通省または陸運支局のホームページからダウンロードできます。
軽自動車の場合
- 車検証
- ナンバープレート2枚(ない場合は理由書)
- 所有者の認印
- 委任者の認印(所有者本人以外が申請する場合)
※理由書は、軽自動車検査協会のホームページからダウンロードできます。
自分で一時抹消登録をする時の手続き方法
まずは、登録期間中に車を保管しておく場所で、ナンバープレートを取り外します。(廃車手続きに限っては、ナンバープレートを自分で外しても違法にはなりません。)
ナンバープレートと準備した書類を持ったら、現住所を管轄している陸運支局に行き、窓口で「一時抹消登録申請書」「手数料納付書」「自動車税・自動車取得税申告書(地域により不要)」をもらいます。
記入台で見本を見ながら記入をしたら、印紙販売窓口で登録手数料350円分の印紙を購入し、手数料納付書に貼付します。
次に、場内にあるナンバー返却窓口で車のナンバープレートを返却し、確認印を受領したら、窓口に戻って全ての書類を提出してください。
記入不備などがなければ、あとは「登録識別情報等通知書(一時抹消登録証明書)」が交付されるのを待ちましょう。(長期休暇期間や毎月末などは繁忙期となり、陸運支局の利用者が増えるので、交付まで1時間以上待つ場合もあります。)
「自動車税・自動車取得税申告書」が必要ない地域の方は、「登録識別情報等通知書」が発行されたら登録は完了です。
「自動車税・自動車取得税申告書」が必要な地域の方は、場内にある税申告窓口で申告書と登録識別情報等通知書を提出し、自動車税の還付手続きを行ってください。
軽自動車の一時抹消登録の手順
普通自動車と同じく、登録期間中に車を保管しておく場所で、ナンバープレートを取り外します。
必要書類とナンバープレートを持参し、各ナンバーの地域を管轄している軽自動車検査協会の事務所・支所に行ったら、窓口で「自動車検査証返納証明書交付申請書・自動車検査証返納届出書」をもらいます。
記入例を参考にしながら必要事項を記入した後、ナンバーの返却窓口でナンバープレートを返納してください。
その後、「軽自動車税申告書」をもらって記入し、窓口に提出して、手数料350円を支払います。
不備などがなければ受付完了となり、「自動車検査証返納証明書(一時使用中止の証明書)」が発行されます。
車を完全に乗れなくする「永久抹消登録」
永久抹消登録はスクラップをする時に使う手続き
一時抹消登録とは違い、事故や災害などで走れなくなった車やもう乗らない車を、二度と走れないようにするための手続きです。
この手続きは「この車は既に乗れません」という意味合いがありますので、基本的には解体(スクラップ)した後に手続きを行います。
そのため、永久抹消登録の届け出を行う前に、業者を選んで解体してもらう手順が発生します。
ディーラーで無料引き取りをしていたり、スクラップ工場が鉄として買取・解体している場合もありますが、少しでもお得に利用したい場合は廃車買取を検討しましょう。
廃車買取なら、動かない車や過走車でもパーツに値段をつけてくれるので、手元にお金が残りやすくなります。
さらに、下記で紹介する永久抹消登録などの廃車の手続きも、無料で代行してくれますので、余計な費用などもかかりません。
永久抹消登録に必要な書類・物
永久抹消登録の事前準備は、既に車を解体していることを前提にしている点が、一時抹消登録との違いです。
そのため、準備はほぼ変わりませんが、解体した事の証明になる番号・日付のメモ(軽自動車の場合は証明書)が必要になります。
これがないと、車が使用不可の状態になっていることを証明できないため、永久抹消登録が行えません。
普通自動車の場合
- 車検証(ない場合は理由書)
- ナンバープレート2枚
- 移動報告番号・解体報告記録日のメモ(被災者の場合は、代わりに罹災証明書)
- マイナンバーカードまたは通知書+免許証(車検が1カ月以上残っている場合)
- 振込先口座の分かるもの(車検が1カ月以上残っている場合)
- 所有者の印鑑証明書(発行後3カ月以内)
- 所有者の実印(本人が申請する場合)または委任状(所有者本人以外が申請する場合)
※理由書および委任状は、国土交通省または陸運支局のホームページからダウンロードできます。
軽自動車の場合
- 車検証
- ナンバープレート2枚(ない場合は理由書)
- 使用済自動車引取証明書
- マイナンバーカードまたは通知書+免許証(車検が1カ月以上残っている場合)
- 振込先口座の分かるもの(車検が1カ月以上残っている場合)
- 所有者の認印
- 委任者の認印(所有者本人以外が申請する場合)
※理由書は、軽自動車検査協会のホームページからダウンロードできます。
自分で永久抹消登録をする時の手続き方法
最初に、解体業者に買取(または引き取り)を依頼し、後日連絡される「移動報告番号」と「解体記録日」をメモしておきましょう。
必要な物を揃えたら、現住所を管轄している陸運支局に行き、窓口で「永久抹消登録申請書」を受け取ってください。
申請書に必要事項を記入した後は、ナンバープレート返却窓口で持参したナンバープレートを返却し、受領印を押印してもらいます。
返却を終えたら手数料納付書をもらい、必要箇所を記入して窓口に提出します。(手数料納付書は書面上必要になりますが、実際には無料で登録できますので、手数料の支払いや印紙の購入は不要です。)
特に不備などがなければ、書類の提出・受領をもって終了となりますが、自動車重量税の還付がある場合には「自動車重量税還付申請書付表1」が発行されます。
書類が発行された方は、場内にある税申告の窓口へ行って提出すると、余計に支払った税金が還付されます。
軽自動車の永久抹消登録の手順
まず、車の解体が依頼できる業者に買取・引き取りを依頼して、後日連絡される「移動報告番号」と「解体記録日」をメモしておきます。
必要書類等の準備ができたら、ナンバーの地域を管轄している軽自動車検査協会に行き、窓口で「解体届出書」を受け取って記入しましょう。(この際、車検の有効期限が1カ月以上残っている車は、自動車重量税の還付対象となりますので、還付金の振込先とマイナンバーも記入が必要になります。)
その後、ナンバープレートを返却して「軽自動車税申告書」を受け取り、再度必要事項を記入してください。
記入が終わったら窓口に書類を提出すれば終了となり、還付金の振り込みを待ちましょう。
事前に一時抹消登録をしている車の手続き方法
車を一時的に使用不可の状態にする「一時抹消登録」を行っている方で、永久抹消登録をしたい場合は、「解体届」の提出が必要です。
事前に、一時抹消登録をした際に発行された書類を準備する必要がありますので、普通車の方は「登録識別情報等通知書(一時抹消登録証明書)」、軽自動車の方は「自動車検査証返納証明書(一時使用中止の証明書)」を当日必ず持って行きましょう。
普通車の場合、陸運支局でもらえる永久抹消登録申請書が、解体届出書と一体になっているので、当日は特別な流れが生じることはありません。
ただし軽自動車の場合、解体届出書が別の書式として準備されていますので、申請当日に軽自動車検査協会で解体届出書の用紙も受け取り、忘れずに記入しましょう。
廃車手続きをしたら、払った税金や保険はどうなるの?
【両抹消登録】普通車は自動車税の還付金あり
車を所有している人が必ず納めなければならない自動車税ですが、普通自動車の一時抹消登録または永久抹消登録を行った場合は、自動車税の還付金が受け取れます。
自動車税は、毎年4月1日に車の所有者に対して課税されていますが、実は年課税ではなく、月課税を一括払いしている形になっていますので、抹消登録をして車を使用しなくなれば、手続きをした月の翌月以降分は月割り計算で税金が返ってくるのです。
たとえば、6月に手続きをした場合、4~6月分の税金の支払いが必要になり、7~3月分の自動車税が還付されることになります。
なお、軽自動車税は、普通車と違って年課税されており、抹消登録をしても還付金の支払いはありません。
【永久抹消登録】自動車重量税の還付は車検期間による
自動車重量税は、自動車の「区分」「重量」「経過年数」によって計算される税金のことで、新車登録時と車検時に支払いを行っています。
この際、車検の有効期間分の税金をまとめて2~3年分支払っているため、永久抹消登録をして車がなくなれば、余剰分を還付してもらうことが可能です。
これは一時抹消登録とは違い、普通車はもちろん、軽自動車であっても、車検期間が1カ月以上残っていれば還付金を受け取ることができます。
還付金は、課税の起算である4月を基準に月割りで計算されますので、たとえば来年5月まで車検が残っている車を6月に永久抹消登録手続きした場合、今年7月~来年5月分の自動車重量税が還付されることになります。
自賠責保険の残期間分も返金対象!
車の所有者に対し加入が義務付けられている自賠責保険ですが、一時抹消登録や永久抹消登録を行えば、残りの期間の保険料が還付されます。
廃車の手続きを行えば、その車が公道を走行できなくなっていますので、必然的に保険料の支払いが必要なくなるのです。
軽自動車も普通自動車も還付の対象になりますが、この申請は陸運支局や軽自動車検査協会では行えません。
窓口は加入している保険会社となっていますので、廃車手続きが完了したら保険証券を手元に用意し、加入会社へ問い合わせてみましょう。
廃車手続きをした車は買取ってもらえる?
一時抹消登録をした車なら売却OK
車買取店は、仕入れた車を中古車として市場に流通させるため、まだ安全に乗れる車でないと買取ることが出来ません。
そのため、一時抹消登録をしている段階であれば、登録解除によって再度乗る事ができるので、買取店で査定をしてもらうことが可能です。
この際、ナンバープレートを返納している状態ですので、盗難車だと疑われないためにも、必ず「登録識別情報等通知書(一時抹消登録証明書)」や「自動車検査証返納証明書」を用意しておきましょう。
また、長期間動かしていない車は、エンジンなどのトラブルや各パーツの劣化・摩耗が生じるリスクが高いので、査定の前に異常がないかエンジンをかけて確認した方が良いでしょう。
なお、一時抹消登録をしている車を公道を走行できないため、買取成立後の車の引き取りにはレッカー移動が必要になります。
この際の移動費がかかるかどうかはお店によって異なりますので、必ず実車査定の時に確認してください。
永久抹消登録をするレベルなら廃車買取へ
永久抹消登録を考えるほどの車は、不動、過走、事故、水没などで安全に走行できないケースが多いため、普通の車買取店で売る事はほぼできません。
実車の査定を依頼しても、買取できないと断られたり、逆に引き取り料金を請求されてしまうケースもあるので注意しましょう。
ただし、車のパーツとしての需要や鉄資源としての価値を判断してもらえる廃車買取なら、解体が必要なレベルの車も売る事ができます。
廃車買取はどこのお店でも実施できるわけではなく、車のリサイクルに特化している専門店でないと難しいため、必ず廃車買取可能と明記されているサービスを利用してください。