なぜ買取業者は事故車にお金を出すの?売れる理由と買取相場を調査
一見使い道がないように思われる事故車ですが、実は買取をしている業者は意外と多くあります。
なぜ事故車が売れるのか、その理由や実際に売った時の買取相場について調べてみました。
そもそも「事故車」はどんな車が当てはまる?
「事故車=事故を起こした車」ではない!?
多くの人は事故車と聞くと、過去に事故を起こしたことのある車を指していると思いますが、実は中古車市場ではこれが正確な認識ではありません。
事故車の定義は、「社団法人自動車公正取引委員会」「財団法人日本自動車査定協会」「日本中古車自動車販売商工組合連合会」によって定められています。
事故車とは、事故を起こした事ではなく「修復歴のある車(または、修復が必要な状態の車)」を指しており、正しい名称は事故車ではなく「修復歴車」と言います。
つまり、事故が原因で修復した車だけでなく、地震や雹などの自然災害によって車が破損したものや、人為的に傷つけられて修理した車なども含まれるのです。
指定部位の破損・修復が判断のカギ
「ちょっとした傷を直しただけでも、事故車になってしまうの?」と疑問に思う方も多いですが、実は多少の破損であれば事故車になることはありません。
事故車として扱われる車は、下記の9つの骨格のうちいずれかで、破損や修復が確認できるものとされています。
ただし、これらのネジを交換しただけでは修復歴にはならず、フレームそのものを修復していたり、修復が必要な状態のものが事故車として取り扱われます。
車買取においても、事故車として認定されると買取価格がかなり下がってしまうため、骨格の修復の有無は査定に大きく影響します。
事故車として認定されるフレーム
- ①フレーム(サイドメンバー)
- ②クロスメンバー
- ③インサイドパネル
- ④ピラー
- ⑤ダッシュパネル
- ⑥ルーフパネル
- ⑦フロア
- ⑧トランクフロア
- ⑨ラジエーターコアサポート
※ラジエーターコアサポートは、交換により骨格を修復した場合も含まれます。
ドアやバンパーなどの修理は事故車にならない?
9種類の骨格以外の部分(ドア、バンパー、スカート、ボンネットなど)は、ボルトなどで交換できるパーツですから、修理していても「事故車」として扱われる事はありません。
ただし事故などで受けた衝撃が強かった場合、表面上はパーツだけが破損しているように見えて、実は骨格を直しているケースもあるので注意が必要です。
また、骨格以外の部位に修復歴がある車が事故車になる訳ではありませんが、買取の面では価格が下がりやすくなります。
骨格の修復はそもそもの車の品質や安全性に大きく関わり、次のオーナーが乗れる車としてではなく、資源として査定されることがほとんどのため、買取価格が大きく下がります。
しかし、骨格以外を直したケースであっても修復歴があることに変わりはなく、手を加えていない車に比べれば安全性が低下しやすい事から、通常より値段が下がってしまうのです。
買取価格は破損の数、箇所、修復内容などによって変動するため、一括査定を使って買取額を比較してみると良いでしょう。
乗れない事故車も売れる理由は?買取後の3つの活用法
事故車の活用法1.リユース
事故車は大きく分けて「事故現状車」と「事故修復歴保有車」とに分けられます。
事故現状車は事故を起こした時のまま、未修理の状態で保管してある車のことを指し、事故修復歴保有者は板金塗装や部品交換などが済んでいる車のことを指します。
どちらの状態であっても、事故による車の損傷が軽く、乗車しても問題がない程度の事故車であれば、中古車として再販することが可能です。
事故車はあまり買い手がつかないと思われがちですが、再販した時も安全性は保障されており、一般的な中古車よりもかなり安く購入することができるため、実は意外と買い手がいるものです。
事故車の買取業者では、自社で整備することで事故車を中古販売としてリユースでき、また無事故車よりも安い価格で買取ることができるため、需要があるのです。
事故車の活用法2.リサイクル
事故車の中でも損傷が激しく、中古車として再販できない場合でも、廃車にする前に使い道が残っています。
1つは、パーツを分解して販売する方法です。
事故車の中でも、全パーツが使用不可能になるほど全損する車は少なく、一部の部品を除いて正常に作動します。
こういった事故車の場合はパーツごとに選り分けて業者に販売することができるため、利用価値があります。
このようなパーツ販売は自動車を扱う業者でしか行えませんので、事故車買取に出し、次につなげてもらうのが良いでしょう。
また、車には多くの鉄が使用されているため、資源として再利用することができます。
事故車に使われている鉄でも、溶かして再利用するため、強度等には何ら影響がでないのです。
車のような大きな鉄の買取は基本的に事業者間で行われ、また鉄・銅・アルミなど種別の分別も必要になりますので、事故車の買取業者が得意としています。
事故車の活用法3.海外需要
リユースであってもリサイクルであっても、需要があるのは日本国内だけではありません。
日本車が安全性に優れた車であることは海外でも非常に有名で、人気がありますが、日本車は価格が高いため中古車の需要が高くあります。
また、アジアを中心とする海外では、工場等の生産ラインが多く、鉄などの資源が大変重宝されます。
そのため、事故車の活用は海外需要に応じても流通させることができるので、買取業者が求めているのです。
修復歴がある車・修復が必要な車の買取相場はどのくらい変わる?
小さなヘコミ、傷などがある場合
車を使っていれば、多少なりとも傷やヘコミなどが生じてしまう事がありますが、目立たないレベルのものであれば、大きく減額されることはありません。
中古車は、多少の状態不良があるものがほとんどですから、再販する際も大きなデメリットにならないため、減額されても多少で済む事がほとんどです。
通常の相場に比べて1~3万円ほど減額されるのが一般的ですが、数が多い場合ややや目立つものがあると、それ以上減額されてしまう事もあります。
過去に修復した事のある事故車
9つの骨格のうち、これまでに1つでも修復歴があると、5~10万円程度は減額されてしまいます。
修復歴が浅い車ほど減額が大きくなりやすく、修復してから時間が経っており、かつ直近まで走行していると、安全性に問題がないと判断され減額幅が小さくなりやすいでしょう。
ただし、修復内容や程度によっては、10万円以上減額されてしまう事もありますので、必ずという訳ではありません。
また、修復歴は申告する義務があるため、万が一隠していたものが発見されると、通常よりも大きく減額される事もあります。
事故車だが修復していない状態
9つの骨格のうち、修復の必要な箇所が直されていない場合、相場よりも10万円以上は査定額が減額されると考えておきましょう。
修復しないままの車は、直しても安全に走行できるかが保証できないため、買取店としてもリスクが高まります。
また、修理の手間と費用がお店側にかかることも、大幅に減額されてしまう理由の1つです。
査定前に自分で修復する選択肢もありますが、買取額より修理費の方が高くついてしまう可能性があるので、修復が必要な車でもそのまま査定に出すのが賢明でしょう。